インプルネータの工房には今現在10社程のテラコッタメーカーが存在します。
彼等は前項でお伝えした14世紀頃に造られた“Kiln”と呼ばれる窯を各々で保有しており、持ち主は窯の保有権と共に、そこで採掘される「Impruneta Clay(インプルネータの土)」という特別資源物質の使用を独占的に使用する権利を国から許可されているのです。
しかし、数十年前より同じトスカーナ州に位置するピストイアやシエナ等の他地域の企業が、信頼性の高い「インプルネータテラコッタ」のネームバリューに目を付けて、一切の保有権をも保持しないにも関わらず、「Mede in IMPRUNETA」の名を騙り世界中へ流通させてしまい、彼等が造る伝統的な「真」の「Mede in IMPRUNETA」はバイヤーや消費者達へ異なる認知をさせて、誤った情報が広まってしまったのです。
その結果、企業相手の価格競争に巻き込まれてしまったインプルネータに存在する小さな工房の数々ですが、彼等に並行して起こっている問題が、後継者不足です。
過酷な条件下で、一年を通して製品一つ一つを0から手造りをする事は我々の想像を超える重労働であり、それに見合った対価が見込まれない事などから、その仕事を目指す若者は年々少なくなってしまい、廃業を余儀なくされる工房も少なくはありません。
これは日本の伝統工芸の世界でも共通する問題かと考えられます。